仲道郁代ピアノコンサート<マイ・フェイヴァリット>


日時 2016/12/3 13:30 開演
場所 みなとみらいホール大ホール
集客 90%くらい
曲目 グリーク抒情小曲集/
アリエッタ、蝶々、ノクターン
ジューマン/トロイメライ,
ショパン/ポロネーズ第一番、ポロネーズ第三番「軍隊」ポロネーズ第六番「英雄」ブラームス/3つの間奏曲、シューマン「献呈」リスト愛の夢第三番、メフィストワルツ第三番

デビュー30周年コンサートでグリーグの抒情小曲集やブラームスの間奏曲がプラグラムになっていたので聴きにいきました。<マイ・フェイヴァリット>と副題のついたピアノコンサート。



作曲家ごとの曲間に楽曲の解説や自分と曲とのかかわりを丁寧に演奏家自身が説明するので。彼女の曲に対する想いや、作曲家の考えや、そういった情報を前提に演奏を楽しむこともできるのですが、一方で、曲間の静けさが無く、私としては緊張感が途切れる気がして気になりました。また、演奏中はマイクのスイッチをきりピアノの上に置かれるのですが、ときどき共鳴するようでちりちりと音がでているようでした。このホールでは何回もピアノの演奏を聴いてきましたが、場所によってはピアノの音に響きがつきすぎて、まるで洞窟の中にいるような聞こえ方をする時があり、今回も前半のグリーク、ショパンあたりはボーボーと張りの無い中間音だけがお団子になって空間をただよい、エッジの利いたスタインウェイらしい音は全くでていませんでした。ところが15分の休憩後の後半になるとガラッと変身。霧が晴れたようにがぜんピアノの音が目覚め、冴えてきて初頭のブラームスはなかなかメリハリの利いた演奏、リストのメフィストワルツは鬼気迫る演奏で聴きごたえがありました。一体、休息中に何があったのでしょうか、ピアノを調律し直したのか、本人が異変に気付き弾き方を改善したのか、あるいは、ピアノが何曲か弾いているうちに鳴りだしたのか、理由はわかりません。いずれにしても、後半のほうが前半の百倍くらいいい演奏であった事は間違いないです。また、全体を見ると、曲の選び方といい、弾き方といい、演奏者のピアノをよく聞きにくるあまりマニアックでないクラシックファン向けに的を絞ったわかりやすい演奏でした。うがった見方をすればそういった限定された聴衆の嗜好に絞り込んだような演奏であったとも言えます。しかしながら全体的には演奏の傾向も曲目の選択も含めよく計算されプロデュースされた演奏会であると思いました。